ペットフードの改良や動物医療の発達により、年々ペットの平均寿命は延びています。喜ばしいことですが、寿命が延びたことによりペットにとって生きているうちの半分が高齢期に当たります。
猫と小型犬のほうが大型犬より長生きし、今後もますます長寿のペットが増えると思われますので、ペットの高齢期に関する知識をブラッシュアップしましょう。
ペットの高齢期に備える
老化のサインを見逃さないように
犬の平均寿命は12~14歳、人間に換算するとだいたい64~72歳です。猫の平均寿命は、外に出る猫と完全室内飼育の猫で差がありますが13~16歳、人間に換算するとだいたい68~80歳です。
大型犬では5歳頃から、猫・小~中型犬では7歳頃から高齢期を迎えます。いつまでも可愛く愛らしい外見からは、年齢の重みを実感しにくいかもしれません。老化は病気ではなく、自然に起きる状態ですが、飼い主の心がけ次第で、老化の進行を遅らせ、高齢になっても元気に過ごすことができます。そのためにも老化のサインを見逃さないようにすることが大切です。
「老化のサイン」チェック項目
- 散歩に行くとすぐに疲れた様子で息があがる
- 飼い主への感心が薄れてきた(呼んでも反応しない、おすわり・待てなどの指示に従わなくなってきた)
- 昼間、寝ている時間が増えた
- 毛が白っぽくなってきた
- 飼い主から離れない(分離不安)
- 理由もなく吠える、夜鳴きをするようになった
- 皮膚や毛のつやが失われてきた
身体や心に起きる変化を見守る
散歩
高齢になると筋肉や骨の量が減少してきます。今までより散歩を好まないかもしれません。嫌がるから歩かせないのでは、さらに筋力が衰えてしまうので、怪我や病気でない限り、散歩にでかけましょう。五感を使う散歩は脳の刺激にもなるので、散歩コースを時々変えることもお勧めです。
猫も無理のない範囲で運動させましょう。
寒い季節は散歩や運動前に、関節など優しくマッサージしてあげると、温まり動きやすくなります。
食事
心臓や消化器官の機能も低下するので、塩分を控えた、消化の良い噛み易い食事を与えることが必要になります。少量ずつ何度かに分けて与えるのも良いです。
食欲を刺激するのも大切です。体温と同じ温度に温めたり、においや香りをつける方法もあります。
今までしなかったような拾い食いや、おもちゃを誤飲するなどの行為も出てきます。散歩ルートや家の中をよく点検して、飲み込んだら危険なものを取り除いておく必要があります。
不安
不安を少しでも和らげてあげられるよう、飼い主さんと共に安心して暮らせる環境を整えてあげることが大事になります。
聴力や視力が衰えると不安な気持ちになるのは人間もペットも同じです。ケガを防ぐためにも家具の角を覆ったりり、フローリングの床が滑りやすく危険ならパネルカーペットを敷くなど工夫しましょう。家具の配置を記憶している場合があるので、突然の模様替えは危険です。
顔まわりを触ろうとすると、人間の手の動きを恐れ、自分を守る行動として咬むこともあることも覚えておきましょう。
毎日の生活が退屈だと人間同様にペットもボケる事があります。高齢になると教えたしつけを忘れることがありますが、根気よく優しく再度しつけていきましょう。飼い主さんがゆったりした気持ちで接してあげることで、高齢のペットの不安も解消されることをアドバイスしましょう。
周りに人がいないと不安になって鳴くことがあります(分離不安)。このような場合は、ペットが安心できる場所を作り、リラックスできるようにしてあげることを勧めてください。飼い主さんの匂いのするタオルや毛布など置くと安心できるでしょう。
若い時から健康管理
元気で長生きしてもらうためには、やはり若い頃からの生活習慣が重要です。
体のケアは、特に体調が悪くなくても、年に1回は健康診断を受けるよう促しましょう。動物病院と定期的にコミュニケーションを取ることにより、獣医師から健康アドバイスなど受けやすくなるメリットがあります。
そして、自宅でできるケアとして歯磨きを勧めてください。若い頃から歯磨き習慣をつけていれば、高齢になっても続けやすいでしょう。シニア期は免疫力が低下しているので、歯垢・歯石を放っておくと歯周病が進行しやすいため、様々なトラブルや内臓疾患の原因にもなります。
ペットの長生きの秘訣は、飼い主の深い愛情と健康管理が必要不可欠であるといえます。規則正しい生活習慣をつけ、お互いが気持ちよく過ごせる環境を整えておくことを普段から伝えていきましょう。